November 27, 2003

生理的欲求の重さ

トイレに行って119番対応できずに免職になった消防職員が逆転勝訴した。

以下は共同通信配信のニュース抜粋:

トイレで席を離れたため119番通報に応答できず、男の子が死亡したとして懲戒免職処分になった大阪・茨木(いばらき)市消防本部の元職員の男性が処分の取り消しを求めた裁判の控訴審判決で、大阪高等裁判所はきょう、処分を妥当とした1審判決を破棄し、免職処分を取り消しました。
判決によりますと、1998年2月9日の朝、茨木市消防本部の通信指令室は3人が勤務していましたが、事務作業や洗顔などで別室に出入りするうちに男性1人だけになりました。午前8時ごろ、男性はトイレのため数分間席を離れました。
その間に入った、心臓発作で男の子が倒れたという学校からの119番通報に応答できず、男の子は死亡しました。男性は「市民の信頼を著しく損ねた」として懲戒免職処分になりました。
井垣敏生(いがき・としお)裁判長は「私用で席を離れたわけではなく、職員1人になり得る勤務体制にも問題があった」と述べました。 また席を離れていたことと男の子の死亡の因果関係も証明されていないと指摘しました。

まず驚いたのは、"懲戒免職"になったという処分。トイレで本を読むなどをしていたなら論外だが、普通に生理的欲求から席をはずした結果、一人の命が失われて懲戒免職・・・ならば、同時刻に通信指令室に勤務していた他の2人も懲戒免職になったのだろうか?

もちろん119番通報に対して市民は絶大なる信頼を抱いている。だがこの救急隊員がトイレに行ったことが懲戒免職にあたるのであれば、救急車の受け入れを拒否する病院はどうなのだろうか?

一般の企業でも"電話番"のためにトイレを我慢して膀胱炎を患う女性がいる。彼女達は身を削る自己犠牲者で、懲戒免職にはならない。この消防職員はお腹が痛くなろうと他の担当が戻るのを待たなければならなかったのか?もしそうだとすれば、裁判長の言うとおり「私用で席を離れたわけではなく、職員1人になり得る勤務体制にも問題があった」わけだ。

もし職員の数を増やすことができないのであれば、電話の前を離れる数分は自分の持つ携帯電話に回線を飛ばすなど他に対応する手立てはあったのではいだろうか?無論、指令するために最終的には持ち場に戻る必要はあるが、まず、"電話がかかってきた"ことに気付くかどうか、という点からすれば、転送という手立てもありうる。

余りにも厳しすぎる処分内容に驚いたとともに、妥当な判決が出たと思うニュースだった。だが、亡くなった男の子のご家族にとってはいたたまれない出来事であったことも事実である。
   

Posted by noriko at November 27, 2003 10:40 PM | トラックバック
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