October 02, 2003

[日経ネット時評] バーチャル・カンパニーは「尊敬」で成り立つ [情報技術]

2003/10/2付 築地達郎氏の記事の論旨は

現代産業をささえる基幹ビジネスは試作産業である.
試作産業の実現にはバーチャルビジネスが必要である.
バーチャルビジネス実現には「尊敬」が必要である.
よって現代産業は「尊敬」によって支えられているのだ

というものだ.上 論旨の最初の一文の導出がやや無理矢理にも感じられるが,それ以外は非常にスムーズな論であり,結論にも納得いくものがある.

タイトルが論旨の主張で述べようとしてる結論とずれてるのが残念ではある.

試作産業は確かに「尊敬」によって支えられてるのであろう.

まず,試作産業はバーチャルビジネスがないと実現しないのは以下に説明されている.

 試作ニーズというのは繁閑の差が非常に大きい。おまけにいつも「特急仕事」になりがちだ。なにしろ、本格発注の前の試作が常識化してくると、商談の日程が決まってから慌てて試作を注文することになるからだ。試作の専門企業が成り立ちにくい所以(ゆえん)だ。

 そこで、非常に重要な意味を持ってくるのが「バーチャル・カンパニー」。専門領域を持つ中堅規模の企業が連携し、注文主の希望に応じて生産設備を自在に組み換えることができれば、複雑な試作ニーズに対応できる。

次にバーチャルビジネスに「尊敬」が必要なことを説明している.

 1993年に出版された『バーチャルコーポレーション』(W・ダビドゥ、M・マローン著)がこの概念を日本に紹介したおそらく最初だと思うが、同書では通信ネットワークのことにはほとんど触れられず、もっぱら「企業としての質の高さ」を論じることに紙幅を費やしていた。

 企業群がネットを駆使し柔軟に連携して仕事をこなそうとする時、必要になるのは金銭的取引を超えた信頼関係だ。「共感」「尊敬」と呼んでもいいかもしれない。

ただタイトルをみても,また[ネット時評]で扱われることを考えても,元々筆者が主張したかったことは,

・バーチャルビジネスに「尊敬」が必要なこと

だけのはずである.それが記事全体に徹底できていない.

試作産業はそのよい例でありにすぎず,またこの主張には必ずしも試作産業が現代産業をささえる基幹ビジネスであるという事実を立証する必要がなく,また現代産業全般に広げる必要もない.

記事のごく最初のところで,現代産業をささえる基幹ビジネスは試作産業である,という主張を面白いといいつつ本当かなと疑問を感じさせてしまった点で,このような論理展開をとっているのがやや残念である.



この記事で扱われていたのは,ネットサービスではないモノを試作する業界のことであった.だが,改めて考えれば,ネットサービス業界にいたっては,試作品をいきなりサービスにだし,うまくいけば日々更新し,うまくいかなければ市場調査と位置づける,といったような考え方の会社が大きく成功している.

ネットサービスの試作に「尊敬」が必要かどうかは記事の議論とはわけて考える必要があるが,

・試作が現代産業をささえる

という主張に,別の面からすっかり感心させられた記事であった.

Posted by pshige at October 2, 2003 11:59 PM | トラックバック (0)
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