November 03, 2003

動く国宝あつまる [歌舞伎]

今日は11月吉例顔見世大歌舞伎に向かう.ちなみに先月日光・戦場ヶ原でようやくおさえたチケット.顔見世だけあって顔ぶれがものすごい.

20031103-CIMG0006.JPG

雀右衛門丈 四代目 京屋 (83)
鴈治郎丈 三代目 成駒屋 (71)
富十郎丈 五代目 天王寺屋 (74)
芝翫丈 七代目 成駒屋 (75)
田之助丈 六代目 紀伊国屋 (71)
菊五郎丈 七代目 音羽屋 (61)

皆人間国宝.逆にいうと,今月出演してない人間国宝の歌舞伎役者は
今は主に国立劇場などで後進指導に専念している

又五郎丈 二代目 播磨屋 (89)

だけ.もちろんこれにとどまる訳もなく,仁左衛門丈も吉右衛門丈も左團次丈も出演,さらに若手役者まで考えれば信じられない顔ぶれだ.

私にとっての今回の見所は3つ.

まずは鴈治郎丈,富十郎丈のからみとなる

・「船弁慶」
・「河庄」

あとは主要なものの中で,私が見たことのなかった最後の首実検もの

・「盛綱陣屋」

である.

「船弁慶」は富十郎丈が一世一代で静御前,知盛の霊の二役を演じた出し物.
最後の渦巻きの引込みを楽しみに行ったのだが,席を立って上手側3F東にまわるタイミングを逸してしまい,1F後部照明の影が定式幕に映ったのしか見えなかった.大失敗.
静御前のおだやかな舞と知盛のはげしい舞のギャップは何度みてもいい.

「河庄」は近松門左衛門「心中天網島」の改作.
鴈治郎丈,富十郎丈とベテランが組むとここまでできるのかと思えるいい出し物.
治兵衛と小春がペアの下着を身に着けてるらしいのだけど,そこまでは目が行き届かなかった.不覚.

「盛綱陣屋」は敵味方に別れた兄・盛綱による弟・高綱の首実検もの.
「熊谷陣屋」「すし屋」「寺子屋」と見てきたが,首実検としては一番難しいと思う.作法にのっとった長いシーンの中で,忠義か人情かの2つの立場に引き裂かれながらも,それを周りに気取られてはならない難しい盛綱の役を吉右衛門丈が見事に演じていた.

「石切梶原」はよく調べずに観に行ったのだが,敵役 梶原景時が珍しく二枚目で出ている出し物.その二枚目を仁左衛門丈が颯爽と演じていた.
「勧進帳」では毅然と立廻る弁慶が「川越上使」ではむしろおっちょこちょいに挑発にのると描かれる.それに通じる梶原景時の人物観の捉え直しが新鮮だった.

「松竹梅湯島掛額」については,滑稽ものは私自身勘九郎ないしは富十郎で見慣れてしまったせいか,菊五郎だとどうしてもあまりおかしさが伝わって来なくなってしまった.

今回の顔見世興行はいい出し物づくしだったのだが,いろいろポカを重ねてしまった.

(おまけ)

・「竹村伊勢」
今回の「河庄」や「助六」等に「新吉原 竹村伊勢」と書かれた蒸篭(せいろ)が出てくる.
この竹村伊勢という和菓子屋は,最中(もなか)のルーツとなる店で,現在のものと作りが違うが「最中の月」という蜜掛け煎餅を出して好評を博したとのこと.

・「背ギバ」
立廻りで四天等が降参したときにとる,足をV字型にしたポーズは「背ギバ」というらしい.(ちょっと自信なし)
イヤホンガイドでも「トンボ」等の説明はするがあのポーズの名称だけはなぜか触れないので気になって家に帰ってから調べてみた.
googleで調べるとそのポーズを「背ギバ」と呼んでる例が多いのできっと間違いないとは思うのだが,誰か立廻りに詳しい人教えてください.

P.S. どちらも平凡社・歌舞伎事典に載ってない.何たることっ!! :-(

Posted by pshige at November 3, 2003 11:00 PM | トラックバック (0)
コメント

ぼく自身は詳しくとも何ともないのですが、手元の本で見た覚えがあったので。

淡交社の「歌舞伎にアクセス」(伊達なつめ・著、http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4473031055)の「立廻り」の項(P.76)に「トンボ」の解説があり、そこで

>ギバ…飛び上がった後、尻や背を下につき、
>両足を開いて広げる。尻をつけば「尻ギバ」、
>背中をつけば「背ギバ」となる。

と書いてあります。

Posted by: どなどな at November 5, 2003 12:25 AM

どなどなさん,いつもいつもどうもありがとう.「背ギバ」だ.

いかん,すっかりどなどなさんをkobitoにしてしまっている(- -;;

Posted by: pshige at November 5, 2003 12:56 AM

歌舞伎に触れようとしている身としては、こういうお話を聞かせてもらうと、ワクワクします。(^-^)
まずは人を覚えなくちゃとは思いますが、見る前から頭でガチガチに覚えてしまうより、まずは実体験したほうがよさそうなので、ボチボチいこうと思います。
教えていただいた12月のNHKの「日本の伝統芸能」、本屋でテキストをみかけたので、買ってみました。能や狂言などもちょうどいっしょに入っていたので、右も左もわからない私には「へぇ~」連発でした。(^^;

Posted by: もも at November 5, 2003 11:40 PM
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