November 06, 2003
おすすめ歌舞伎本 [歌舞伎]
これから歌舞伎を見たいという人がどうも多いようなので,いくつか書籍の紹介を.
●まだ歌舞伎を見てない人向け:
・マンガ歌舞伎入門 講談社+α文庫, 松井今朝子他
取っ付きやすいマンガの形式で,ごく短時間に歌舞伎の主要狂言のあらすじを知ることができ,話がわからないから歌舞伎がわからないという苦手意識を克服できる.ただ細部は描かれていないので,対象者は歌舞伎を見たことない人かごく初心者までに限定されるかな.
ストーリーは押さえてあるので,見たことない狂言をあたかも見たことがあるように語るのにも最適.ちょっと邪道だけど:-)
収録狂言は「国姓爺合戦」「恋飛脚大和往来」「菅原伝授手習鑑」「仮名手本忠臣蔵」「妹背山婦女庭訓」「伽羅先代萩」「桜姫東文章」「与話情浮名横櫛」「青砥稿花紅彩画」「心中天網島」「夏祭浪花鑑」「義経千本桜」「伊賀越道中双六」「東海道四谷怪談」「三人吉三廓初買」と『歌舞伎十八番』の「助六」「勧進帳」「鳴神」「暫」「矢の根」「景清」「象引」「外郎売」「押戻」「不動」.
こう並べると壮観.この狂言すべてのあらすじをいえる人もあまりいないだろうなぁ:-)
・痛快!歌舞伎学 集英社インターナショナル, 小山観翁
NHK歌舞伎キャスターとして,また劇場ではイヤホンガイドとして著名な小山観翁氏による書きおろし.全然体系的ではないのだけど,著者がもつ膨大なエピソードの中からよりすぐりのものを並べて,読んでいるだけであたかも歌舞伎通になったかのような気分にさせてくれる好著.
初心者から読めるため「まだ歌舞伎を見てない人向け」に分類しているが,私もいまだにたまに読んでは新たな発見を楽しんでる.
●歌舞伎を最近見始めた人向け:
・かぶき手帖〈2002年版〉, 伝統歌舞伎保存会
全歌舞伎俳優他の顔写真や経歴などをのせた公式データブック.歌舞伎ファン必見.舞台で誰が誰だかわからないために話にのれない人には特におすすめ.
私は一冊余計に買って,ページをばらばらして単語カードのようにして役者の顔と名前を一致させようと覚えていて馬鹿にされた覚えがある:-) こういう使い方にも便利だが,周囲にご注意を.
・歌舞伎手帖 講談社, 渡辺保
コンパクトな形態で,著名310作品を解説した書籍.私は「かぶき手帖〈2002年版〉」と「歌舞伎手帖」はどちらも文庫本ほどのサイズなので,常に劇場にもっていっては行き帰りの電車でチェックしている.
●歌舞伎を語るぞと心に決めた人向け:
・歌舞伎事典 平凡社
膨大な専門知識の蓄積を系統的に集大成した初の本格的専門事典.最新の研究成果を織り込み,伝承の技術と知識を1500余の項目で解説する.立項は,作品・人名・書名・演技・演出・舞台・楽屋・興行・大道具・小道具・衣裳・鬘など万般におよぶ.さらにカラー別刷図解年表・下座音楽一覧などの特集付録により実用の便も図る.斯界各分野の専門家88名が執筆し,図版520点を収載する.歌舞伎についていよいよ調べたいことが出てきた時期に手にとるとよい本.
・歌舞伎―過剰なる記号の森 ちくま学芸文庫, 渡辺保
歌舞伎のいくつかのキーワードを手がかりに,著者の論が深く展開しており,ひとつの歌舞伎観が描き出されている.「歌舞伎って何なの?」という質問に対する答えを皆さん一人一人が出すにあたり注目すべき点についてたくさんのヒントが得られる好著.
・忠臣蔵とは何か 講談社文芸文庫, 丸山才一
忠臣蔵論のパラダイムを変革した,文芸評論の名作.
・千本桜―花のない神話 東京書籍,渡辺保
義経千本桜のいくつもの謎の解明を試みた書籍
・鶴屋南北 中公新書, 郡司 正勝
たくさんの脚本をのこした鶴屋南北について,時代背景を踏まえて解説した書籍.
・黙阿弥の明治維新 新潮社, 渡辺保 4103941030
河竹黙阿弥の夢みたものを検証した書籍.
三大名作「忠臣蔵」「菅原伝授」「千本桜」や「南北」「黙阿弥」あたりはどうしても外せないのでたくさん読んでみたが,上記あたりが読みやすかった.おすすめ.「菅原伝授」の本はそもそも少なくてどうも,,,
歌舞伎評論全般に,私の場合は渡辺保氏の分析が腹に落ちることが多い.
●おまけ
私は最近「市川團十郎」「歌舞伎十八番」というキーワードに関心が強く,成田屋ホームページもよくチェックしている.
書籍としては,この2冊がお気に入り.
・歌舞伎十八番 河出書房新社, 市川 團十郎他
当代市川團十郎の書き下ろした市川宗家家伝の「歌舞伎十八番」本.
・市川団十郎代々 講談社, 服部幸雄
12代にわたる團十郎の紹介.役者絵,番付,舞台写真など興味深い資料がたくさん収録されている.
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