November 30, 2003
Winny で逮捕者,パケットを減らす [情報技術]
週末まで書かないでいると,すでに旧聞となっており,さすがに皆に語られてる模様.
以下では,私が見渡した範囲で Blogではまだ扱われていない,今回の逮捕がインターネットバックボーントラフィックへ与えた影響の話題を中心に.
残念ながら主要ISPでトラフィックを公開しているところは見あたらない.ISP同士をつなぐ接続点 IX (インターネットエクスチェンジ)については比較的データ公開が進んでいる.
日本のIXには,商用利用の JPNAP,JPIX, MEX, 実験利用の NSIXPなどがある.NSPIXP2, JPIX のグラフは横軸の時間が長すぎてここ数日の変化まではみてとれない.MEXはデータを公開していない.
そこでJPNAPのデータに注目してみる.日本のバックボーントラフィックの傾向をみてとれるだろう.以下のグラフをみると, 逮捕と見られる時期の前後で,ピークトラフィックが36Gbpsから30Gbpsに1/6程度, 平均トラフィックが 26G-30Gから22Gbpsに1/6-1/4程度減少したのがみてとれる.

この現象の見方はさまざまだと思うが,私は現在違法とされるトラフィックのボリュームを世間に見せ付けた点で非常に意義のある機会だったと思う.違法行為を発端とするトラフィックがこんな大きな割合を占めているのはさすがに異常事態といえる.逮捕を動機に現象したのだから減った分は間違いなく違法トラフィックだったのだろう.
単純にトラフィックボリュームだけの話に戻すと,6分の5になったピークがそのまま戻らないとしても,一年で倍になるトラフィックへの設備投資をたった100日強遅らせることができるだけでしかない計算になる.インターネットコネクティビティを提供するのは因果な商売だというのも同時にいえる.よくドッグレースを続けるなぁ,みんな.
今回 Myblog で 「Winny」のキーワードで引っかかる既存記事を拝見させていただいたが,リンクリストだけを提供する程度のエントリが多く,きちんとコメントを加えてるものは大して多くなかったのが意外であった.
私が逮捕の記事を見たとき最初に気になったポイントは以下の三つだ.
- 今後の著作権のあり方について
- ネットでの匿名性について
- バックボーントラフィックにどの程度の影響があるか
3. についてはすでに書いた.
1.は著作権料の徴収手段の話に限定すれば,オンライン配布の落ち着き先はどのみち
印刷技術,オーディオカセット,ビデオ,CD,DVD等の新技術登場時に起こったのと同様,著作権者のパイの拡大であろう.歴史をひも解けば明白.こちらは比較的どうでもいい話題.
むしろ今後どういう道のりをたどるか,これを機に儲かる事業は何なのかにこそ関心は集中するだろう.儲け話が絡むのでこちらの方は事件を契機に急加速するのかも知れない.
2.のネットでの匿名化/プライバシー保護のあり方に関しては,今回はそもそも著作権侵害のみを主要な動機とした作られた匿名化ツールに限定される問題.ネットでの匿名化をどうするかといった議論にまでは影響は与えないと私はみている.実際事件をきっかけにそういった議論は大きく扱われていないようだ.著作権保護とプライバシ保護との間の綱引き自体は確かに興味深いんだけどね.
想像もしていなかった面白い話は,Winnyでファイル送信していた人(取得していたではない)の動機分析の話.(from Husky, network styly*)
こうした議論がそもそもなされていたこと自体を知ることができただけでも,今回記事を書こうと思ってよかったなぁと感じた.
以上の記事を書く上で,以下のblogサイトを参考にさせていただいた.
Plog,simpl-é-blog,elephantlogicthirty,Onion Kills Zombies,Modern Syntax,Akai's Blog,Computer U Relax,らんシャチョーのすちゃらか雑記,IGALOG,パンダを喰らう,tsuredure.net,blueblog@,P.C.AZ.,カフェ日誌,ちょんわ!パーティー
P.S.
Freenet って案外知られてないのね,という感想を今回もったのは確か.
追記 2003.12.01
「(JPNAPが)JPIXに次ぐトラフィック量をほこり,」 の表現を削除しました.事実誤認だったため.面目ない.
Posted by pshige at November 30, 2003 05:21 PM | トラックバック (13)メールアドレスは管理者にのみ通知されます.

